DEMOS AND BOOTLEGS
タイトル
DEMOS AND BOOTLEGS
発売日
2025年6月14日
レーベル
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とあるファンがTumblrに投稿した無名バンド――日本でも注目が集まり始めた「Incantabiss」の現象

イタリア発、公式リリースなし。リハーサルスタジオで録音された5つの音源だけで、ジャム・バンド「Incantabiss」が海外でも話題に。ブートレグ音源や手作りグッズまで現れ始めている。

アルバムなし、公式SNSもなし、ライブ告知も一切なし。
それでも「Incantabiss(インカンタビス)」というイタリアのバンド名が、オルタナティブ音楽ファンやジャム・バンド愛好家たちの間でじわじわと広まりつつある。

きっかけは、ある音楽ファンがTumblrに投稿した記事。彼を含む数人が、リハーサルスタジオでスマートフォンによって録音された5つの未編集音源が入ったフォルダを受け取ったことから始まった。
ミキシングなし、プロダクションなし。むき出しのサウンドだが、その衝撃は予想以上だった。

中でも「AUDIO 3」と名付けられた35分に及ぶジャムセッションは特に注目を集めている。

「最初は即興的なセッションかと思うけど、聴いていくうちに彼らがどこへ向かっているのか、確かなビジョンを持っていることが分かる」
投稿者は、バンドをLounge LizardsやGrateful Dead、さらにはGooseのエネルギーを通したような存在に喩え、「イタリア的で退廃的、ノワールな美学」を持つと評している。

日本でも反応が広がる
この現象はイタリアだけにとどまらない。日本の音楽系ブログやSNSでも、「Incantabiss」の音に心を動かされたという投稿が散見され始めている。
ジャズ、サイケデリック、ライブ感――型にはまらないそのサウンドは、「本物のグルーヴ」や「音楽的リスク」を求めるリスナーの感性に刺さっているようだ。

ブートレグ音源と手作りマーチ
ネット上では、正体不明の非公式ブートレグ音源が共有されている。トラック名もメタデータもなく、匿名ユーザーによって再編集されたファイルたち。
まるで、すでに伝説となったバンドのようだ。

さらに、熱心なファンの一部は手作りのマーチャンダイズを制作・販売し始めている。ステッカー、刺繍パッチ、ZINE風プリントなど、公式なサポートは一切ないが、「この音を届けたい」という純粋な衝動に突き動かされているようだ。

「もしウッドストックが、暗くて煙ったニューヨークのクラブで開かれていたなら、こんなライブになっていたかもしれない」
― 最初の投稿より
中には、カセットテープ、レコード、CD-Rなどフィジカルでのリリースを望む声も出てきており、「新しいアンダーグラウンド現象の始まり」になる可能性もある。

今のところ、「Incantabiss」は依然として謎に包まれている。だがその音は、確実に“生きている”。
マーケティングも、戦略もない。ただ、音楽だけが独自の道を切り開いている。
曲名
GIALLO CLUB NY DEMO